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【DSJ/デンタルスクウェアジャパン】根管系の実際について

皆さまこんにちは。DSJボードメンバーの田中利典です。この夏に、名古屋で行われたエンドのセミナーに参加しました。講師はブラジルのMarco Versiani先生で、マイクロCTを用いた歯と根管系の解剖学的形態に関する考察で著名な先生です。その講演の中で大変興味深い言葉がありました。

 

「世の中の一般的な歯内療法学のテキストでは、根管は単純化されたイラストで表現され、治療手順や流れが説明されている。その単純化されたイラストを見て、学生達はどう感じるだろうか。ほとんどの学生は「歯内治療は単純で、簡単なものだ」と錯覚してしまうだろう。しかし実際のところ我々が相手にしているものは根管系(root canal system)であり、非常に複雑で、時に感染を取り除くこと自体が困難なこともある。安易な理解で歯科医師が根管治療を行って複雑化させている現状は容易に想像でき、いかに真実を伝えるか、という点で、最初の学部教育が非常に大切である」

 

根管系という複雑な形態を言葉でどんなに説明しても、実際の画像に勝るものはありません。ましてや同じ歯種でも様々なバリエーションがあるとなると、その奥深さは計り知れません。彼はマイクロCTを用いて根管系に関する多くの情報を発信し、ウェブサイト上でも取り上げています(http://rootcanalanatomy.blogspot.com/)。このような「根管系の実際」を知った上で治療を行う場合と、単純化されたイラストから想像して治療する場合とでは、ファイルの操作一つをとっても大いに違いがあるでしょう。どんなに歯科医学が発達しようとも、相手にしている根管系は歯科医学の幕開けの時代から変わっていないわけです。

 

 

DSJボードメンバー:田中利典