突然ですが、皆様が患者さんに自由診療を提供する際の価格はどのように決められているのでしょうか。たとえばクラウンの場合、一般的には使用する材料の値段や外注技工費、配送料、投資した機材費、院内の人件費等などの原価や経費から考える方法、もしくはクラウンを作り上げるためにかかった時間や診療回数などの時間的要因から算出される方法などが用いられていると思います。
つまり、「このクラウンを作るのに必要な原価がこれくらいだからこの値段で提供しよう」とか「これくらいの時間がかかっているから請求する費用はこのくらいで」という具合に、一見妥当な費用設定がされているわけです。
しかし冷静に考えると当たり前なことなのですが、クラウンの本当の価値とはそれを作製するために何時間かかったか、いくらの原価がかかったか、ましてや周りの医院との比較などとは一切関係がないはずです。本来であれば、「そのクラウンが装着された結果、患者さんにとってどれほどの成果が得られるか」が最も重要なのです。
モノの価値は人それぞれによって異なるものです。だからこそ自由診療を提供する際の費用は提供する側が自ら考え、どのような人に手に入れて欲しいのか、手に入れた結果患者さんに対してどのような価値をもたらすのかを明確に設定し伝える必要があります。
きちんとした知識や技術の裏付けがないのに高額な価格設定は単なるぼったくりですし、しっかりと学び良い医療を提供しているのにそれに対して極端に低い価格設定は単なる自己満足と経営難を招いてしまう上に、患者さんの口腔健康価値は変わりません。
自由な診療を行うためにはまず自由に自分の価値を決める責任があるのではないかなと最近ぼんやり考えています。
来週末はいよいよDSJのキックオフミーティングです。皆様にお会いできるのを本当に楽しみにしております。
木戸淳太