治療計画、補綴修復、歯周病(インプラント)、歯内療法のスタディグループはデンタルスクウェアジャパン(DSJ)へ

ニュース&トピック

【DSJ/デンタルスクウェアジャパン】アメリカンフットボールと歯科医療

 

 

皆さんこんにちは。DSJアドバイザリーボードメンバーの嘉村康彦です。今回は「アメリカンフットボールと歯科医療」についてお話ししてみたいと思います。

 

突然ですが皆さん、先日行われたス−パーボールご覧になりましたか?アメリカンフットボール(以下アメフト)はアメリカでは不動の一番人気スポーツであり、歴史的に人気が高かった野球に取って代わり、アメリカの“国技”“国民的娯楽”であるという意見が主流を占めるまでに至っています。私は大学時代ラグビー部に所属していましたので、アメフトとの違いは熟知しておりますが、一般的に良く似ているスポーツとして認識されています。少し調べてみたところ、アメフトの歴史は意外と浅く、1876年にラグビー選手として活躍していた、のちに“アメリカンフットボールの父”と呼ばれるエール大学のウォルター・キャンプの呼びかけにより会議が開かれ、基礎的なルールが決められたそうです。ルールの策定にラグビー選手が絡んでいたのは目から鱗でした。さて、スーパーボールを見ていて思ったことですが、アメフトはポジションにより仕事が全く異なります。お互いの信頼関係、ゴールを共有することが非常に重要であり、それらは日々の練習やミーティングなどで構築されていくものだと思います。それぞれのポジションがそれぞれの仕事を的確に行うことで、試合に勝利するという目的を達成するわけです。

 

アメフトのポジションは、よく歯科医療に例えられます。私は現在、歯内療法専門医として、GPからの紹介患者の診療にあたっています。専門医制度が確立している米国でさえ、GPとの連携は非常に難しいと感じることは多々あります。私のクリニックでは定期的にスタディクラブを開き、我々のコンセプトの提示をして、GPとの意見の交換を行っています。お互いがお互いの治療と役割を理解し、治療のゴールを共有するためには、常にアップデートされた臨床力、知識を持つべきであると考えています。

 

アメリカにはアメリカの、日本には日本のスタイルが存在して当然だと思っています。アメフトも最初から、ポジションが細分化されていたわけではなく、時代を経て現在の形に至ったものであり、仕事を責任の下、分担するというのはすべてが通ってきた道、日本の歯科も近い将来必ずそうなります。しかし、専門医課程(レジデント制度)という確立された教育機関、制度がないため、自分で自分と共に働く歯科医師を選ばなければいけません。それは自分が自立するということであり、クライテリアをもとに紹介をして、時には紹介を受ける関係を構築していく必要があるということです。

.

私はコロンビア大学歯内療法科専門医課程で、「臨床力」、「エビデンス」という2つに加えて、「歯内療法の歴史や世界観」を学んだと思っています。文献をレビューするのも、「Current:最近の文献」と「Classic:古典的文献」の2つを別のクラスで行います。ただ単に現在の文献を手当たり次第に読んだとしても、時代の潮流を理解するのは非常に難しいでしょう。歯科の歴史の中で重要な「Key」となる文献をレビューし、自分なりの価値観や考え方を持つべきであり、それは自立した歯科医師となる一歩であると私は考えています。また歴史を学ぶことにより、未来に対する洞察力を磨くことができます。DSJではそれらの「Key」となる論文や考えを極力バイアスのかからないようにお伝えできればと思っています。それらは継続した学習の基礎となると考えています。

 

DSJアドバイザリーボードメンバー:嘉村康彦