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【DSJ/デンタルスクウェアジャパン】再生歯内療法

こんにちは。DSJアドバイザリーボードメンバーの嘉村康彦です。昨今、再生歯内療法:Regenerative Endodonticsという言葉を耳にされた方は多いのではないでしょうか?もし耳にされた事がないとしても、近い将来、歯内療法にも再生医療の息吹がかかることは間違いありません。

 

 

本症例は私がコロンビア大学レジンデント時代に施術した症例です。10歳の少年で外傷により、露髄を伴う歯冠破折を起こし、歯髄壊死/症状を伴わない根尖性歯周炎と診断された症例です。今までであれば、アペキシフィケーションを行うというのが第一選択となりましたが、このような症例において再生歯内療法は力を発揮します。外傷症例において、「再血行化:Revascularization」という言葉がありますが、これはあくまで血行の有無を言及するもので、神経や象牙質などの組織の再生を意味する言葉ではありませんでした。端的に説明しますと、再生歯内療法:Regenerative Endodonticsとは根尖部の幹細胞を根管内に誘導することにより、根管内に本来の歯髄組織、象牙芽細胞、そして象牙細管を伴う象牙質の再生を試みる治療法であると言えます。歯内療法界では、間違いなくトレンドの1つであり、世界中で多くの基礎研究、臨床研究が行われています。発表されている多くの論文では再生歯内療法の有意性が確認されており、更に高いエビデンスレベルの研究が望まれます。

 

世界で最も読まれている歯内療法の教科書「Pathway of the Pulp」および「Journal of Endodontics」のチーフエディターであるProf. KENNETH M. HARGREAVESの「Overview of Regenerative endodontics:再生歯内療法の概要」と題した講演を聴く機会がありました。「破折やカリエスで失われた歯質を再生することができれば、どれだけ多くの歯牙を救うことができるだろうか?」という彼の問いに歯内再生療法に対する彼の情熱をひしひしと感じ、改めて再生歯内療法への可能性を実感しました。2018年3月には再生歯内療法を牽引するコロンビア大学准教授であるDr. Martin Kimに「臨床家のための再生歯内療法」と題して講演してもらいます。

 

 

Dr. Martin Kimはペンシルバニア大学歯内療法科専門医課程、修士課程を卒業後、コロンビア大学にてプログラムディレクターを務められ、現在は准教授として臨床、研究、教育に従事されています。Journal of Endodonticsなどのトップジャーナルの査読者であり、アメリカ国内だけでなく、世界各国で講演を行っています。今後の歯内療法のトレンドを日本で、その分野を牽引する人物に聞くことができる、またとないチャンスです。私自身もこの講演を楽しみにしています。是非ご参加下さい!

 

嘉村康彦