皆さまこんにちは。DSJボードメンバー米国歯内療法専門医の田中です。
最近、若手の先生から「エンドを勉強するのに良い書籍はどれですか?」とよくご質問を受けます。近年はエンド治療に注目が集まっているようで、数多く書籍が出版されているが故にどれを手にして良いのか分からなくなってしまうようです。
さて、そもそも何をもってして「良い」とするかは人それぞれかと思いますが、生物学的な知識と歯内療法の難しさを理解するのであれば、Drs. Ricucci & Siqueiraの「Endodonotology」という書籍がオススメです。この書籍、本年「リクッチのエンドドントロジー」として日本語訳がクインテッセンスより出版されました。監訳者のひとりである月星光博先生がDr. Ricucciを名古屋にご招待し出版記念講演会が行われましたが、アテンドで私もご一緒させて頂いた経緯があります。
この書籍をご存知ない方は是非手に取ってみてください。とにかく載っている写真や組織像から得られる考察は大変奥が深く、我々の行う歯科治療の限界を突きつけると共に生体反応の凄さに驚かされます。オリジナルはイタリア語で大変分厚い書籍ですが、日本語版はスリム化された英語版から訳されており、見比べると全くと言っていいほど同じレイアウトで構成されています。つまり日本語版と英語版がそれぞれ手元にあれば、とても良い英語学習教材にもなるのです。
いきなり英語論文を読むのはハードルが高い、そうかと言って教科書的な歯科英語の学習では頭に入らない、という場合、臨床写真や組織像の挿入文を読み比べるだけでも新たな気づきが得られます。秋の夜長に読みふける本として、ご紹介した書籍がエンドの勉強と英語の勉強の双方で役立つようであれば幸いです。
田中利典