治療計画、補綴修復、歯周病(インプラント)、歯内療法のスタディグループはデンタルスクウェアジャパン(DSJ)へ

DSJ特別対談 No.2

DSJ特別対談 No.2DSJ主宰 築山鉄平
白水貿易株式会社 代表取締役社長 中山茂男

創業67年、貝を材料にしたボタンから歯科業界へ

築山鉄平)
本日はお忙しい中貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございます。中山社長とは一度ゆっくりお話しをしてみたかったので、今回このような機会を頂けて大変光栄です。
中山社長)
実は私この業界に入って此の方インタビューを受けるのは初めてになります。いつも断り続けてきたものですから。以外と緊張しますね(笑)こちらこそどうぞ宜しくお願いいたします。
築山鉄平)
先ずは白水貿易という会社がどのような会社でどのような製品を取り扱っている会社なのかご紹介頂いても宜しいでしょうか。
中山社長)
白水貿易は今年で創業67年目になります。創業者は中山道之佑で私の叔父にあたります。創業時はちょうど戦争が終わった頃で、何かできる仕事がないかと模索した後に行った事業が貿易でした。創業当初は歯科とは全く関係のない、例えば貝を材料にしたボタンや病院の材料を海外へ輸出したりしていました。そしてそういった輸出をする代わりにスイスの時計を輸入して日本で販売していました。当日スイスの時計というのはもう一家の財産ですから飛ぶように売れたそうです(笑)
築山鉄平)
創業当時は歯科業界とは全く関係のないところから始まった会社なのですね。それは知りませんでした。
中山社長)
ところがある日、現株式会社ヨシダの方とお会いする機会があり、ご縁あってヨシダのユニットを海外へ輸出することになりました。それが歯科業界へ介入したきっかけです。人と人との巡り合わせは本当に不思議なものですね。そこからだんだんと歯科の比率が増えていき、現在では100%歯科の会社です。従業員は145名、パートの方を含めると約180名になります。因みに株式会社デンタリードは白水貿易の100%子会社にあたります。
築山鉄平)
白水貿易は自社でも製品を作られているのでしょうか。それとも海外の製品をそのまま日本へ輸出してきているのでしょうか。
中山社長)
極論両方しています。私たちはいち貿易屋ですから、車でいくとヤナセやBMWの服部モーター商会とか、こういう会社だと思って頂けるとイメージが沸きやすいかと思います。ですから、トヨタや日産の車で満足できないお客さんが、ベンツやBMWに興味を持って購入をされる、そういう感覚でしょうか。ただ、一方で貿易屋が蔓延る国というのは健全ではないと思っています。やはり日本のメーカーがしっかりと根付いて繁栄をしなければ、日本の経済は良くならないと思います。そういった意味で、貿易屋というのはその“隙間”を埋める商売と位置づけています。そして隙間が埋まるともうその商売は終わってしまうため、また次の商売を考えなくてはなりません。貿易会社というのはそういった宿命にあり、常に新たな製品や材料を提供していかなければ生き残っていけません。

どんなに優れた治療でもきちんとした予防があるからこそ成立する

中山社長)
この度はDSJの設立おめでとうございます。DSJオフィシャルサイトを拝見させて頂いたところ、先ずは治療計画、補綴修復、インプラント、歯内療法の4コースからスタートするそうですね。今後将来的に他のコースなどはお考えですか?
築山鉄平)
ありがとうございます。DSJでは「自立して診査診断し、自律して治療を進めることができる歯科医師を多く輩出すること」をひとつ目標に掲げています。歯科医療の中には匠の世界もあり、もちろんそれも非常に大事なことですが、科学的根拠をもった歯科医療の原理原則に則った確実性を重視する考え方も大切なことだと思います。例えば「このケースにはこの治療方法が正しいから皆さん真似するように!」という方法ではなく、なぜその治療方法が正しいのか、他に最良の選択肢はないのか、そもそも診査診断から見直す必要性はないか、といった様な、光の当て方やモノの考え方というのをエビデンスに則って伝えていきたいと思っています。そして将来的には歯科医師のみならず、歯科衛生士や歯科技工士などを対象にしたカリキュラムも組んでいきたいと考えています。
中山社長)
非常に素晴らしいビジョンですね。治療方法や手技的なものは、材料も含めて物凄いスピードで変わっていきますので、大学や学校を出たままずっと診療をしていると、5年後や10年後には既に浦島太郎状態ですよ。やはり若いうちにきちんとしたモノの考え方や土台を構築していくことはとても重要なことだと思います。
築山鉄平)
まだまだ先の話しにはなりますが、将来的には卒後研修の様な、いわゆる学校みたいな役割をDSJで果たしていきたいなと考えています。これからの将来を担っていく若手を中心にそういった教育を施していき、自立した医療従事者たちをどんどん世の中に輩出するということが目的のひとつでもありますね。
中山社長)
とても意義のあることですね。是非期待しています。ところで築山先生は国内外で多く講演をされていますが、主にどういった内容の講演が多いのでしょうか。
築山鉄平)
やはり主に予防関係の講演依頼が多いです。私自身は原則エビデンスに則った治療を踏襲していますが、講演の依頼は予防の話しの方が圧倒的に多いです。約7~8割が予防の話しで2~3割が治療や専門分野の話でしょうか。私の土台とハートは予防なのです(笑)ですから講演をしていると、ついつい予防の話しの方に熱が入ってしまいます。私の父であり現つきやま歯科医院の院長は、今から約30年前のむし歯の大洪水時代においても、いわゆる患者さんの訴えを聞きつつ少しずつ行動変容を促していくような予防の診療を行っていました。そういった背中を見ていますから、やはり健康的で健康を維持するという考え方の方が私は好きですね。そしてどんなに優れた治療をしたとしても、きちんとした予防処置や定期的なメンテナンスをしなければ健康を維持することはできません。そういった考え方もあり、ボードメンバーもただ有名な専門医を寄せ集めているという訳ではなくて、基本的な予防の概念の理解や受けてきた教育背景が一緒の先生方で構成しています。その方がどんなカリキュラムにおいてもメッセージに一貫性を持たせることができますし、我々の意思疎通もしやすいです。

常に時代の先を読み、その時代にあったモノを探し提供することが白水貿易のポリシー

築山鉄平)
白水貿易が大切にされている理念のようなものはありますでしょうか。
中山社長)
白水貿易の理念というのは、やはり世界にある様々な良い商品を探し当てて先生方へ提供するということに尽きますよね。
築山鉄平)
先ほど白水貿易のホームページを拝見させて頂きましたが、正直「これも白水貿易が取り扱っているのか!」という商品が非常に多くて驚きました。今白水貿易として特に力をいれている商品や分野はありますでしょうか。
中山社長)
今はありがたいことに先生方も私たちの製品だと知らずに使って頂いている製品も増えてきましたね。その中でも現在白水貿易として最も注力しているのがエンドとペリオ、そして滅菌と院内感染ですね。ミーレジェットウォッシャーとクラスBオートクレーブリサ、これは私たちが約11年前から取り扱ってきた製品ですが、最近ようやく注目を浴びてきた感じは受けますね。リサは今まで取引をしていた会社が取扱い始めた製品でしたが、その当時に「将来絶対にこういったオートクレーブが必要になる!」と確信したのを覚えています。もちろんその他にも海外にある色々なオートクレーブを試しましたが、やはりリサが1番良かったですね。
築山鉄平)
非常に先見性に優れていますね。そういったグローバル目線や「この商品は絶対に需要がある!」といった目利きは、どのように養われてきたのでしょうか。
中山社長)
もちろんいっぱい失敗もしてきましたよ。ただ私は中山道之佑が社長の時に、白水貿易を総合商社のような会社にしたいと思っていました。世界中から色んな良いモノを探して来てそれを先生方へ提供する、それこそが白水貿易のポリシーだと思っています。その他には海外の製品を日本用に改良する場合もあります。例えばスプラソンP-MAXという製品は日本で開発された製品です。スプラソンは私が1979年にADF(アジアデンタルフォーラム)に行った際に「これは良いな!」と思って即輸入をしたのですが、その当時はただのスケーラーだったため全く売れませんでした。チップもNo.1,2,3ぐらいしかなくて。それを私たちの顧問の先生方と「エンドに適用できる様にしよう!」とか「ペリオに適用できる様にしよう!」と言って私たちが独自に開発した製品なのです。パワー設定なども加え改良に改良を重ねた結果、今では世界中の製品はどれもペリオとエンドのモードが付いていますよね。
築山鉄平)
素晴らしい取り組みですね。つまりただ海外の製品を輸入して日本で販売するだけではなく、モノによっては日本用に改良して販売し、更にはそれを海外へ輸出することもあるということですね。そういった考え方や発想というのは、やはり常にマーケットへアンテナを張っていないとできないことだと思いますので非常に感心します。
中山社長)
純粋に何か材料や製品を先生方へ提供することによって、先生方が上手く診療ができるとか、同じ時間を使っても結果が良いとか、そういったモノはないかなという好奇心ですね。それが私の働くモチベーションに繋がっています。ただ先ほども言った通り私たちは貿易屋ですから、世界から良いモノを輸入してこないとビジネスにならないところがありますので、常に先生方から喜んでもらえるような製品や材料を輸入しないと飽きられてしまいます。そこが私たち貿易屋の腕の見せ所です。

スペシャリストたちが連携して患者利益となる医療を

中山社長)
私はつくづく思うことがあるのですが、先生方の診療は本当に大変だと思います。むし歯の充填から入れ歯の治療まで、一方ではインプラント治療もすればエンドの治療も行います。大変というよりかは、正直無理じゃないかと思っています。そこで例えば「当院はむし歯の治療しかしません」というような、そこまで極端に分化しないまでも「当院はインプラント治療と歯周外科を行います」とか「当院はむし歯治療と入れ歯治療を専門に行います」など、ある程度の診療領域区分を明確にした方が患者さんにも分かり易くて良いと思っています。「むし歯になったらここへ行こう!予防だったらここへ行こう!」みたいなイメージでしょうか。その点築山先生はどのようにお考えでしょうか。
築山鉄平)
私もまさしく中山社長が仰る通りだと思っています。アメリカやヨーロッパは専門医文化が進んでいますので、補綴、ペリオ、エンドなどの専門分野が確立していますが、意外と縦割り的な連携が多くその場合は決して効率的ではなく、患者さんの利益に即しているとは言えない部分もあります。日本の場合は大学病院がまさしく良い例だと思います。しかしこれからの時代はそうではなくて、例えばそれぞれの専門分野が円だとして、その円と円が重なり合う領域のところをそれぞれの専門分野の先生たちが考え、協業しながら同じ方向を向いていく医療が求められていくのではないかと思っています。アメリカにあるメイヨークリニックがまさにそのような医療形態をしています。メイヨークリニックでは「外科」とか「内科」という括りではなく、例えば「糖尿病専門科」という括りの中で、例えば糖尿病に罹患している方でむし歯の治療が必要な方は「歯医者」ではなく「糖尿病専門科」へ掛かります。そこでは糖尿病に精通した様々なスペシャリストがカンファレンスを行い、今回のこの患者さんに関してはこの分野の先生が舵を取っていきましょうというような取組みをしています。結果的には非常に患者利益に沿っている医療の在り方だなと思っています。
中山社長)
とても理にかなった医療形態ですね。少し話は変わりますが、先日も当社へ商談に来られたお客さんに「良い歯医者さんを紹介して下さい!」と言われました。この業界に入ってもう何百回以上質問されています。しかし、私は良い歯医者とは何だろうと考えたりします。それは患者さんが何を求めているかによって変わることだからです。むし歯の治療ですか?それとも歯周病の治療ですか?それとも予防のためですか?と聞きますが、相手はそれすらも分からない状態です。結局は「良い歯医者」=「優しい先生」という構図が成立してしまっているような気がします。こういった現状を変えるためにも、築山先生には啓蒙活動も含めて日本全国へ情報発信して頂きたいなと思っています。DSJは築山先生の地元である福岡が拠点だと思いますが、将来的には是非東京やその他地域でも活動の輪を拡げて欲しいなと思います。
築山鉄平)
中山社長と従業員の方々とのやり取りを拝見すると、とてもフランクな印象を受けるのですがいつもそのような感じなのでしょうか。
中山社長)
その様に見えますか?いつもこんな感じです(笑)。そうですね、ひとつ考えられる要因とすれば社長室がないことでしょうか。
築山鉄平)
社長室が無いのでしょうか?
中山社長)
はい、東京はもちろん大阪本社にもないです(笑)私はどちらかと言うと営業の人とか皆と一緒に仕事をするのが好きなのです。現場と言いますか、例えば営業マンが先生からのクレームを頂いたとします。そういうのを横で聞くと、その機械や材料のどこが悪いのかというのがすぐ聞けたりします。そこからコミュニケーションが生まれたりするのが大切だと思っています。ですから、東京に来る時は営業マンが使っている大きなテーブルがありまして、そこで営業マンの隣に座りながら仕事をしています。一度社長用椅子を買ったのですけど、大き過ぎて使い勝手も悪く直ぐ使わなくなりました(笑)特に白水貿易という会社はまだまだ小さな会社ですから、皆と一緒に力を合わせてやらないと生き残っていけません。「自分は社長だぞ!」と威張っていると、1年ぐらいだったら良いでしょうけれど、段々と裸の王様みたいになってしまい経営が難しくなってくると思っています。
築山鉄平)
とても中山社長のお人柄が垣間見られるお話しですね。ところで山中社長の休日のリフレッシュ方法は何かありますでしょうか。
山中社長)
私はテニスですね。週に2回程やっています。まったく歯科とは関係のないテニス仲間たちとテニスをするのが好きですね。
築山鉄平)
本当でしょうか。実は私もテニス部でした。今では月に1回行けるかどうかなので、きっと山中社長にけちょんけちょんにされてしまうと思います。。。
山中社長)
やってみないと分かりませんよ!今度是非一緒にやりましょうか?(笑)

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